ことばをつかさどる脳の働きの話

ことばでのやりとりには、いろいろな過程があり、その過程で脳はいろいろな働きをします。

脳の働きを簡単に紹介しますと、認知する(聞いてわかる)過程では、まず音を聞き、次にことばの音素として認知し、さらにことば全体、発語全体をとらえ、また視覚的に到達する情報(文字)をも効果的に統合して理解し、抽象的思考へと変換させます。 表出する(話す)過程では、話そうという欲求を深め、また目的観念を生じさせます(概念形成段階)。

次に発生に要する身体の器官を空間的にも時間的にもうまく使い、予めプログラミングされた様式に従ってことばを話させます。

これらの働きをするための中心的役割を果たす脳の領域は図に示したようにある程度想定されていますが、厳密にその役割が脳の一定の部位だけに局在しているわけではありません。特にことばを理解する、抽象的思考への変換、概念形成は前頭葉、側頭葉を中心とした大脳全体の機能と考えられます。

さらに複雑な心理過程と関連した言語活動全体はまさに脳全体のダイナミックな営みそのものと言えます。 構音(発声)には、錐体路系、錐体外路系、小脳といった運動を制御する中枢も密接に関与します。



*参考文献:田中美郷編著『小児のことばの障害』医歯薬出版



公益社団法人 発達協会王子クリニック・石﨑 朝世