てんかん

1.てんかんとは

人口のほぼ100人に1人といわれており、決してまれな病気ではありません。てんかんという病気は発作を主な症状とする慢性の脳の病気です。てんかん発作のおおもとの原因は、脳の細胞がいつもよりもたくさんの電気をだしてしまうことです。そしてその過剰な電気がいろいろな発作症状をひきおこします。脳の細胞は生きている限り微少な電気を出しています。この電気は非常に小さいので、頭に手を当ててみてもビリビリするわけではありません。

2.いろいろなてんかん発作

てんかん発作は異常な電気活動のおきた脳の場所によっていろいろな症状や脳波所見を呈します。なぜ場所によってちがうのかというと、もともと脳の表面(大脳皮質)が、場所によってちがった働きをしていて、分業をしていることに関係しているのです。

てんかん発作の原因となる病気(基礎疾患)は、脳炎の後遺症や頭部外傷など原因のはっきりしているものもありますが、多くのものは原因不明です。全く原因が見当たらず素因(てんかんになりやすい性質)によるものを特発性てんかんといいます。

また、もともと脳に障害があるとてんかんをおこしやすいといえます。たとえば脳性マヒや精神遅滞、自閉症などです。

てんかんの治療

1.抗けいれん剤による治療

てんかん患者さんの70~80%は、抗けいれん剤(発作を抑制する薬)で発作を止めることができます。抗けいれん剤はてんかんそのものを治す薬ではないのですが、発作をおさえたり、予防したりすることによって発作をおきにくくします。てんかんの原因になる病気の有無や、発作型、発作の頻度などはひとりひとりちがいますし、薬に対する反応も異なりますので、適切な薬を適切な量、適切な期間のむことが大切です。抗けいれん剤はたくさんの種類がありますが、どの薬から使うかにはおおまかな基準があります。なるべく少ない種類の薬(できれば1種類)を、効果のある最少量で、しかも副作用の出ない量でのむのが理想ですが、充分量をのんでいるのに発作がとまらない場合や、副作用がでてしまった時などは、ちがう薬に変更するか、もう1剤加えたりします。

 さて、抗けいれん剤をのみ始めることになったら、まずのみ忘れないことが大切です。風邪薬など他の薬との併用もかまいません。むしろ抗けいれん剤をその時だけ急にやめたりしては、発作をおこしかねません。ただしいくつかの薬は、服用中の抗けいれん剤に影響を与えることがありますので、医師に申し出たほうがよいと思います。

抗けいれん剤は1日2~3回のみます。長時間効いている製剤なども開発されており、1回でいいものもあります。実生活に即したのみかたでないと結局効果があがらなかったりするので大抵は、1日2回ですが、難治なものや、1日中平均的に効果をあげておきたい時などは、3回以上のこともあります。食後の服薬が副作用を防ぐ意味でも、より長い時間効果をもたせる意味でも望ましいのですが、食事がとれない時でも抗けいれん剤はのみ忘れないようにしないと効果が落ちてしまいます。

抗けいれん剤をいつまでのむのかということについては、大体発作がとまってから3~5年は必要です。早めに服用をやめるとやはり再発率も高いようです。

副作用としてとくに抗けいれん剤が過量な場合や多剤服薬している時に、眠気が強い、ぼんやりしている、反対に興奮したり多動になったり、からだがふらついたり、学力が低下したり、食欲がなくなったりといった症状や肝機能障害がでることがあります。

2.その他の治療

点頭てんかんという特殊なてんかんでは、ACTH療法というホルモン療法が効果的です。その他のてんかんでも使われることがありますが、ビタミンB6が効果を上げることもあります。

最近は漢方も使われるようになりましたが、それは単剤というよりも附加的に使われる薬です。小柴胡湯合桂枝加芍薬湯(しょうさいことうごうけいしかしゃくやくとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、などが使われます。

外科治療では、最近またその有用性が言われるようになってきましたが、手術というものは本人にとっても家族にとっても大変なことですので最終的な方法です。しかも適応になる例は非常に限られます。




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