夜尿症について

Q:
七歳のADHD(注意欠陥多動性障害)男児のことで、ご相談します。現在小学校二年生ですが、おねしょが、週に五日くらいあります。午前一時にすでにパンツが濡れている時と、明け方にしている時があります。三年生になると、林間学校があります。このまま、様子をみていてよろしいのでしょうか? 四歳の妹が、おねしょをしなくなったので、親のほうがあせっています。

※ほか、同種の質問が多数寄せられています。

A:

1.同じ兄妹で、おねしょのなくなる時期に差があるのはなぜ?

心身の成長と共に、腎臓で作られた尿を溜める膀胱の容量が大きくなります。また、睡眠中に尿を濃縮する作用のある抗利尿ホルモンが適度に分泌されるようになって、夜間の尿量が少なくなります。さらに排尿を調節する自律神経や睡眠リズムに伴って分泌される各種ホルモンのバランスが整い、朝までおしっこがもつようになります。このように複雑な要因が関係し合って排尿機能が発達するため、おねしょの卒業には個人差が生じます。おねしょは、本人の意思とは関係なく起こることですから、しつけや本人のせいではありません。

2.検査や治療が必要?

小学校入学時に、夜尿(おねしょ)がある割合は、約一割と言われています。ADHD児では、その割合が多い傾向にありますが、原因は解明されていません。

夜尿症は、腎臓や膀胱・尿道などの泌尿器疾患、尿崩症・糖尿病・下垂体性小人症などの内分泌疾患や脊髄疾患等の症状として現れることもあります。  したがって、夜尿以外に、日中トイレに行く回数が多い、いつも下着が少し濡れている、身長の伸びが悪い、水分を沢山飲むなどの気になる症状がある時は、小児科または泌尿器科を受診なさってください。

3.紙パンツは嫌がるが、濡れていても起きない。

日中のトイレトレーニングの時は、おしっこをして濡れたという不快感が、予めトイレにいくという動機付けになります。けれども、眠ってからの排尿は、自己コントロールできない別のことです。夜ぐっすり眠ることで、尿を濃縮する抗利尿ホルモンの分泌がよくなり、また膀胱に尿を溜めやすくなると考えられています。睡眠リズムを乱さないようおねしょしていても起こさず、パンツが濡れていたら、そっと換えてあげてください。

4.おねしょをしてもケロッとしている。もっと自覚を持ってほしいが…

「おねしょをした」ということは、小さな子にもわかる出来事です。しない時が○、した時が×。本人の意志に反して起こるこの事実に、朝目が覚めて、心にグサッとバッテンをつけられたような気持ちになります。ただ、哀しいかなそれをお母さんやお父さんに上手に伝えられません。また、おうちの方が自分のおねしょのことで悩んだり、心配したりしていることも、よくわかっています。ADHD児は表面的なことばや行動で、誤解を受けやすいですが、むしろとてもデリケートな面を持っています。妹さんに気づかれずに自分で濡れた物の処理をできるようお子さんと相談なさってください。また、紙オムツを嫌がる場合は、パンツのままで寝かせて、大人が眠る時に成人用オムツパットを使う(予め本人の了解のもとに)のも一案です。紙オムツの感触やギャザーがゴソゴソして嫌だったり、他の兄弟の視線が気になったり、気持ちは複雑です。

そして、寝る前には「おねしょじゃんじゃんしていいからね」と頭をなでて、何かひとつ褒めてください。お子さんは日中、学校で緊張することが多く、家でも褒めてもらう機会は少ないと思います(筆者も自分の子を褒めるのは苦手です)。さらに、おねしょをするのではないかという不安を抱えています。今日一日のストレスをぐっすり眠って解消するために、うれしい気持ちで心をいっぱいにして、安心して眠りについてほしいと思います。

5.食事や水分のとり方で気をつけることは?

夕食後の水分は、コップ一杯までに控えます。氷片にすると、口の乾きがゆっくりとれて少ない水分で満足感があります。水分制限を厳しくすると、洗面所や入浴時に水を必要以上に飲んでしまい、夜の尿量が増え逆効果です。

塩辛い物は、あとで水分が欲しくなります。スナック菓子や、夕食時の味の濃い味噌汁やスープ、スパイスのきいたおかず、塩辛、キムチ、漬物などは、控えるか、朝食昼食にとってください。

お茶やコーヒーだけでなく、果物にも利尿作用があります。また、甘い物や清涼飲料水、スポーツドリンクなども、あとで喉が渇きますので、夕食後は注意が必要です。



☆王子クリニックにおねしょで受診される方の三人に二人は、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎を伴っています。鼻の奥がつまっていたり、鼻水が喉のほうに下りたりしているだけですと、外見は目立ちません。けれども、喉に下りた鼻汁をきるために、咳のような声を出したり、口を開けがちで眠りが浅かったり、頭が重くてすっきりしなかったりという症状があります。そして、筆者も花粉症があるのでよくわかりますが、喉がとても渇きます。このような症状がある場合は、その治療から始めます。鼻づまりがよくなると熟睡でき、喉の渇きがなくなり、水のがぶ飲みが減ります。

便秘がちだと寝ている間に腸が動いた時、硬い便が膀胱を圧して排尿を促してしまうこともあります。また「冷え」も排尿機能に影響を与えます。

おねしょが、寝入りばなや午前二時くらいであったのが明け方一回になると卒業間近です。早寝早起きや日常生活の注意を守っても、おねしょが続く時は、きめ細かい生活指導や薬物治療が必要な場合もありますので受診なさってみてください。



公益社団法人 発達協会王子クリニック 竹内紀子(非常勤)