排泄が自立しているお子さんのおもらし

Q:
小学6年生で、特別支援学校に通っている男児です。昨年、転校してから、日中のおもらしがあり、2ヵ月経った現在も週に3~4回あります。おねしょはありません。小学校入学前にトイレへひとりで行けるようになっていて、これまで、おもらしはほとんどない状態でした。かかりつけの病院で診察や検査を受け、「問題ないので様子をみましょう」といわれました。学校でも、家でも30分毎にトイレへの声かけをしています。トイレでは出ず、尿パッドに出ていることもしばしばあります。中学生になっても、この状況が続くのかと心配しています。

A:
ご相談ありがとうございます。すでに排泄が自立しているお子さんが、新学年や新学期、引越しなどの環境変化や運動会、発表会などの行事前後をきっかけに心因性頻尿となり、トイレが間に合わず失禁してしまうことはよくあります。ご質問のお子さんも、おねしょがなく、受診で問題なしとのことですので、おそらく心因性頻尿と思われます。
膀胱のコントロールは自律神経が元になっていますが、とても繊細です。ストレスや緊張、疲労、睡眠不足、冷えなどで、膀胱が過敏になり、さらに、おもらし状態に一度でもなると、本人自身がとても不安になって頻尿が続いてしまいます。

心因性頻尿の対処法は
①おもらししても安心な対策→使い捨てタイプまたは布製のパッドや防水パンツ、オーバーパンツなどを使用します。表地防水、裏地吸水・速乾・消臭機能のある「おねしょガードズボン」という男女兼用のハーフパンツや長ズボンもあります。

②冷え対策→下半身が冷えると頻尿になりがちです。暑がりのお子さんでもお腹が冷えていることが多く、股上の深い厚地のパンツやズボン、腹巻付き(オーバー)パンツ、足首の冷えを予防するための厚地の靴下、アンクルウォーマーの着用などが有効です。 ①も②も本人が好むものが大事です。装着時の心地良さは本人にしかわかりません。2~3つの中から本人に選んでもらってください。

③トイレへの声かけを控える→頻繁にトイレ誘導をすると、本人が獲得した「膀胱充満感」→「強い尿意」→「トイレに行く」という一連の感覚と行動がわからなくなり混乱してしまいます。

ケースをお示しします。なお、個人情報保護のため、本質に影響しない程度に内容を変更しています。

○Aちゃん12歳:毎年、運動会の前後は落ち着きなく、情緒が不安定になりがちでした。今回6年生、最終学年ということで、参加競技の数も増え、難易度も上がりました。練習中に、学校で初めてのおもらしがあり、運動会が終わっても、2日に1回はおもらしがあるため受診されました。尿検査で問題なく、診察でお腹がかなり冷えていたので、冷えや不安・緊張を和らげる漢方薬を処方しました。また、外側からもお腹を温める必要があるため、腹巻付きオーバーパンツをお勧めしました。使い捨て尿パッドは好まず、布製のパッドを使用、トイレへの声かけは外出前、食事の前または後、寝る前と極力少なくしてもらい、学校の先生にも協力していただきました。2週間後の再診時には、自らトイレに行って、おもらしほとんどなしとのことでした。引き続きお腹の温めと声かけなしをお願いしました。

○B君13歳:中学校の入学式の時におもらしがあり、その後週に2~3回はおもらしをして、さらに時々おねしょもあるということで受診されました。診察では花粉症の症状が目立ちました。水を多く飲むようになったことと、おもらし以外にもトイレに行くと尿量が多いとのことにて、糖尿病や尿崩症、腎臓病などの病気も疑い、血液検査と尿検査をしましたが異常ありませんでした。花粉症になると、鼻がつまって、口が開きがちとなり、のどが渇きます。そのため花粉症の治療を始めたところ、飲水量が減って、おもらし、おねしょが徐々になくなりました。

○Cさん18歳:作業所に通い始めて半年経った頃、頻回にトイレに行き、さらにおもらしもある状態になりました。近医で頻尿の薬を処方していただいても、おもらしが週に2回あるため受診されました。診察すると下腹部に便塊が触れました。お話をうかがうと、学校を卒業してから運動量が少なく、体重も増え、便秘がちになったとのことです。便秘になると、腸にガスがたまり、便塊とともに腸が動く時に膀胱を圧迫し、その刺激で強い尿意や排尿がおこることがあります。腸の動きは自分ではコントロールできませんから、本人がとても困ってイライラしていました。野菜、海草、きのこ、こんにゃくを多めにして、肉や揚げ物を減らす食事と通所をバスから徒歩に変更したことで、便秘が改善し、頻尿がおさまり、体重も減りました。

このように、原因や対処法は様々です。上記以外にも頻尿の原因としてギョウ虫症や女子では子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣のう腫、膣炎など、男子では亀頭包皮炎、陰のうや前立腺疾患もありますので長引くときは再診が必要です。
なお、「トイレトレーニング」「おねしょ」については王子クリニックHPをご覧ください。おもらしで自信を失くしているお子さんに「安心」と「笑顔」をお願いします!

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公益社団法人 発達協会王子クリニック 竹内紀子(非常勤)