協働ロボットは導入して終わりではありません。製造業 自動化の効果を長期的に享受するためには、適切な保守メンテナンスが不可欠です。定期的なメンテナンスを怠ると、突然の故障によるライン停止、修理費用の増加、生産計画への影響など、多大な損失につながります。
本記事では、協働ロボットを長期間安定稼働させるための保守メンテナンスのポイントと、実践的な管理方法を解説します。
協働ロボットの主要部品と消耗パターン
協働ロボットの保守を理解するには、まず主要部品とその消耗パターンを把握することが重要です。
関節部のギアとベアリング
ロボットアームの各関節には、減速機（ギア）とベアリングが内蔵されています。これらは動作のたびに摩耗し、経年劣化していく消耗品です。
劣化の兆候
- 動作時の異音（ガタガタ、キーキー音）
- 位置決め精度の低下
- 動作がスムーズでなくなる
- 発熱量の増加
一般的に、稼働時間10,000～20,000時間で交換が推奨されますが、作業負荷によって大きく変動します。
モーターとドライバー
各関節を駆動するモーターとその制御を行うドライバーも重要な部品です。
劣化の兆候
- 動作速度の低下
- トルク不足（可搬物を持てなくなる）
- 頻繁なエラー発生
- 過電流アラーム
適切な冷却環境で使用すれば、数万時間の稼働が可能ですが、高温環境や過負荷での使用は寿命を大幅に縮めます。
ケーブルとコネクタ
ロボットアームの可動部には、電源ケーブルや通信ケーブルが配線されており、繰り返しの屈曲により劣化します。
劣化の兆候
- 通信エラーの頻発
- 動作中の突然の停止
- エンドエフェクタへの電源供給不良
ケーブル類は外観検査で劣化を発見しやすいため、定期点検での早期発見が重要です。
エンドエフェクタ（グリッパー等）
ワークを掴むグリッパーや吸着パッドは、最も頻繁に消耗する部品です。
劣化の兆候
- 把持力の低下
- 吸着不良
- 位置ズレの頻発
作業内容により消耗速度が大きく異なり、数ヶ月から1年程度で交換が必要になるケースもあります。
日常点検と定期メンテナンスのスケジュール
計画的なメンテナンスにより、突発故障を防ぎ、ロボットの寿命を延ばすことができます。
日常点検（毎日または毎週）
作業者が日々確認すべき項目です。
点検項目
- 外観チェック（損傷、汚れ、異物付着）
- ケーブルの状態確認（断線、被覆の損傷）
- 動作音の確認（異音の有無）
- エンドエフェクタの動作確認
- 非常停止ボタンの動作確認
これらは特別な工具や知識がなくても実施できます。チェックリストを作成し、記録を残すことが重要です。
定期メンテナンス（月次または四半期）
より詳細な点検とメンテナンスを実施します。
実施項目
- グリス補充または交換
- ボルトの増し締め
- ケーブル固定部の確認
- 動作精度の確認（テストプログラムの実行）
- エラーログの確認と分析
- バックアップデータの更新
この段階では、ロボットティーチングや基本メンテナンスの知識を持つ担当者が実施します。
年次メンテナンス（年1回）
専門技術者による詳細な点検と部品交換を実施します。
実施項目
- 減速機のグリス全交換
- ベアリングの状態診断
- モーターの絶縁抵抗測定
- 制御盤内の清掃と点検
- ソフトウェアのアップデート
- 精度校正（キャリブレーション）
年次メンテナンスは、メーカーや代理店の技術者に依頼することが推奨されます。
予防保全と予知保全の実践
メンテナンスの高度化により、突発故障を未然に防ぐことができます。
予防保全の基本
決められたスケジュールに従って部品交換やメンテナンスを実施する方法です。
メリット
- 計画的な部品調達と作業計画が可能
- ダウンタイムを最小化できる
- メンテナンス費用を予算化しやすい
実践のポイント
- メーカー推奨のメンテナンススケジュールを遵守
- 稼働時間を正確に記録
- 交換部品の在庫を適切に管理
予知保全の導入
ロボットの状態を常時監視し、故障の予兆を検知して事前に対処する方法です。
監視する指標
- モーター電流値の変化
- 動作速度の低下傾向
- 位置決め精度の経時変化
- 温度上昇のパターン
- エラー発生頻度
最新の協働ロボットには、これらのデータを自動収集する機能が搭載されており、異常の兆候を早期に検知できます。
愛知 ロボット導入を進める企業では、IoTプラットフォームと連携し、複数台のロボットを一元管理する取り組みも始まっています。
トラブル発生時の対応手順
万が一トラブルが発生した際、迅速な対応が被害を最小化します。
一次対応（現場作業者）
対応手順
- 安全確保（ロボット停止、周辺立ち入り禁止）
- エラーメッセージの確認と記録
- 簡単なリセット操作の実施
- マニュアルでの対処法確認
- 解決しない場合は保守担当者へ連絡
エラーコードと対処法をまとめた簡易マニュアルを現場に配置しておくと、復旧時間を短縮できます。
二次対応（保守担当者）
対応内容
- 詳細なエラーログの解析
- 部品の交換や調整
- ロボットティーチングの修正
- 動作確認と原因の特定
社内で対応できない場合は、速やかにメーカーや代理店のサポートに連絡します。
サポート体制の確保
協働ロボット導入時に、充実したサポート体制を確認することが重要です。
確認すべきポイント
- 日本語でのテクニカルサポートの有無
- サポート対応時間（平日のみか、24時間対応か）
- 駆けつけサービスの有無と対応エリア
- 交換部品の在庫状況と調達リードタイム
- 定期メンテナンスプログラムの有無
製造業 自動化において、ロボットの停止時間は生産損失に直結します。迅速なサポートを受けられる体制の構築が不可欠です。
https://www.fairino-elathe.com
【FAIRINO正規代理店・公式保守認定企業】FAIRINO（フェアリノ・ファイリノ）協働ロボットの販売・保守は、国内唯一の公式保守メンテナンス会社として認定されており、日本語での技術サポート、定期メンテナンスプログラム、迅速な駆けつけサービスを提供しています。
保守コストの最適化
メンテナンスにかかるコストを適切に管理することも重要です。
保守契約の活用
多くのメーカーや代理店は、年間保守契約を提供しています。
保守契約のメリット
- 定期点検が含まれる
- 緊急時の優先対応
- 部品割引が受けられる場合がある
- 予算管理がしやすい
初期投資だけでなく、ランニングコストも含めた総保有コスト（TCO）で評価することが重要です。
予備部品の適切な在庫管理
頻繁に交換が必要な部品や、調達リードタイムが長い部品は、予備品として在庫することを検討しましょう。
在庫すべき部品
- エンドエフェクタの消耗部品
- ケーブル類
- よく使うセンサー
- グリス・潤滑油
過剰在庫は資金を圧迫しますが、適切な在庫により、故障時のダウンタイムを大幅に短縮できます。
計画的メンテナンスが長期稼働を実現する
協働ロボットを長期間安定稼働させるには、日常点検、定期メンテナンス、予防保全の3つを計画的に実施することが重要です。主要部品の消耗パターンを理解し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことで、突発故障を防ぎ、ロボットの寿命を延ばすことができます。
また、充実したサポート体制を持つ代理店から導入することで、トラブル発生時にも迅速な対応が可能になります。ロボットティーチングだけでなく、保守メンテナンスまで含めた総合的な管理体制を構築することが、製造業 自動化の成功につながります。
愛知 ロボット市場では、24時間稼働を前提とした製造ラインも多く、予知保全の導入により、計画外停止時間を最小化する取り組みが進んでいます。協働ロボットへの投資効果を最大化するため、保守メンテナンスを経営戦略の一部として位置づけましょう。
